ハイエンドのデジタル・コンソールに匹敵するTotalMix FX
新しいMADI PCI Expressプラットフォームの心臓部には、ハイエンドのデジタル・コンソールに匹敵する内部解像度48bitのDSPベースTotalMix FXハードウェア・ミキサーがあります。すでにライブ・ギグのミックスなどでデジタルFOHミキシング・コンソールの代わりとして活躍するRME Fireface UFXと同等の機能群を備え、さらにMADI FXの膨大なチャンネル数と追加のルーティング・オプションが利用できます。
TotalMix FX
さらに新たにリリースされたTotalMix Remoteを併用すると、イーサネットや無線LANを用いてRMEオーディオ・インターフェイスのすべてのミックス状態、ルーティング、FX設定、そしてレベルメーターをリアルタイムでiPadやコンピューターに表示し、コントロールすることができます。
TotalMix Remote
デジタル・ゼロ・レイテンシー・エフェクト
HDSPe MADI FXはFireface UFX / UCXと同じ192 kHzエフェクト・エンジンを搭載します。400チャンネルものチャンネル数に対して、可能な限り高品質のエフェクトを追加するために、RMEは強力な最新世代のFPGAを採用し、DSPアルゴリズムの効率性をさらに追求しました。 これらのパフォーマンス改善により、MADI FXの4096チャンネル・ミキサーは、チャンネル数のより少ないRMEユーザー・インターフェイスと同等の快適な動作を約束します。
すべての入出力チャンネルは本格的なデジタル・コンソールに匹敵する機能群を備えています。3バンド・パラメトリックEQ、調整可能なロー・カット、オート・レベル、コンプレッサー、エキスパンダー、MSプロッセシング、位相反転等のエフェクトをチャンネルごとに搭載し、リバーブとエコー・エフェクトはステレオ・センドとリターン・バスよりすべてのチャンネルで利用可能です。さらにHDSPe MADI FXは、192 kHz動作時もこれらのエフェクトをすべて利用できます!
完全なエフェクト・セクションは、レコーディング・システムに柔軟性を加えると同時に、レイテンシーの大きいソフトウェアからも解放してくれます。TotalMixは外部ミキサーの代わりとして、スタジオのメイン・モニターや、レコーディング・ルームのボーカルのヘッドフォンにEQやリバーブを加え、レイテンシーのないモニター・ミックスを作成できます。 FXのDSPは自動でオーバーロードを監視するため、DSPがオーバーロードすることはありません。処理能力の限界でエフェクトを追加できない場合は、TotalMix上に明示されます。また、サンプル・レートを上げたことにより処理能力を超えてしまう場合は、自動的に超える分のエフェクトが無効になります。これにより、歪みによるスピーカーへの損傷を防ぎます。すべてのレベル・メーターのRMSとピーク・レベルはDSPハードウェアで計測されるため、ホストへのCPU負荷はありません。
390チャンネルを簡潔に表示する「Hide(非表示)」機能
ライブやスタジオなどで常に390チャンネルの全体像を見渡す必要があっても、必ずしもすべてのチャンネルを表示したくない場合に、TotalMix FXは便利なチャンネル・マネージメントを提供します。
TotalMixにはいくつかのミキサー・ビューを同時に表示する優秀なマルチ・ウィンドウ機能が搭載されていますが、1列に196ものチャンネルがある場合は、特別なインターフェイス・デザインが必要です。例えば、1/2チャンネルと191/192チャンネルのミックスダウンを同時に確認したい場合、常に画面を交互にスクロールする必要があり、一度に1つの画面でこれらを表示できません。
これはHide(非表示)機能で解消できます。すべてのチャンネルは個別に非表示にすることができ、Hideのセットアップ内容はいつでも保存/ロードが行えます。
例:73〜85チャンネルにドラム・セットのアナログ信号、110〜114に打ち込みのドラム・サウンドの信号があるとします。Hide機能はマウス・クリック1つで他のチャンネルをすべて非表示にし、ドラム・ミックスだけを表示させることができます。110〜114チャンネルの電子生成されたドラム・サウンドと73〜85チャンネルのドラム・セットの信号がすべて同じウィンドウで途切れなく並びます。
Hideは接続されたMIDIリモート・コントロール機器に合わせてチャンネルを取捨選択することもできます。これにより、196チャンネルの中から好みのチャンネルを選択してコントロールすることができます。フェーダーが少ないリモート機器でも、チャンネル設定を切替える必要がありません。
プロフェッショナル・マトリックス・ビューによる柔軟なルーティング
194入力、196再生チャンネルはすべて196のハードウェア出力に対して自由にルーティングできます。この優れた機能によりオーディオ・カードにこれまで搭載されたことのない最も強力なルーター/ミキサーが実現し、オーディオ・インターフェイス以上の機能を提供します。
応用例:
- MADIオプティカル・パッチベイ・ルーター
- MADIコアキシャル/オプティカル双方向コンバーター、スプリッター
- MADIリディストリビュータ―、パッチベイ、ルーター
MADI FXはライブ/スタジオ・セットアップのMADIルーターとしても利用できます。TotalMixの設定は自在に行えます。優秀なTotalMixチャンネル・マトリックスはハードウェアのルーターと比較しても、明確なユーザー・インターフェイスを提供し、マウス・クリック1つでルーティングやセットアップを瞬時に作成/変更できます。
モニタリング・コントローラー
TotalMixは最新のスタジオやライブ・ミキシングのモニタリング環境で必要な機能をすべて搭載します。ディム、ソース選択、モニター切替え、統合されたトークバック機能、柔軟なキュー設定、ミュート/ミュートFX、モノ、スピーカーB切替えなど、数多くの機能を備えます。
TotalMixリモート・コントロール
TotalMixの主な機能はMackie Control対応コントローラーを使用してMIDI経由でリモート・コントロール可能です。さらに、TotalMixはApple社のiPadを使用して、Mackie Control エミュレーターApp、スタンダードMIDIコマンド、OSC(TouchOSC、Lemurなど)経由でリモート・コントロールできます。これによりワイヤレスで快適にTotalMixの主要パラメーターをコントロール可能です。
同期
ジッター抑制機能「SteadyClock」
デジタル信号にはサンプリング・クロックの時間的なゆらぎによるジッターが生じます。その抑制こそがデジタルオーディオ機器の大命題とされています。
Steady Clockはすべてのクロックに対して驚異的なジッター抑制を行います。Steady Clockはいかなるクロックもリフレッシュして抜群の再生クオリティーを保つだけでなく、理想的な基準クロックとしてすべてのデジタル出力から送信できます。
ほとんどのMADIベースの機器が追加のワードクロックやAES回線を必要とする中、HDSPe MADIは、Steady ClockでMADI信号から直接リファレンスクロックを最小限のジッターで抽出しますので、長距離接続をより一層便利に行えます。
Steady Clockの詳細
ICC – Intelligent Clock Control
クロック状態を表示し、万が一外部ソースが失敗した場合は最後に有効なサンプル・レートを維持します。さらにRMEのSyncCheckテクノロジーが瞬時にクロックの問題を検知します。
DIGICheck
DIGICheck はデジタル・オーディオ・ストリームの計測、解析を行うために開発されたRME 独自のユーティリティーです。RMEオーディオ・インターフェイスに標準で付属しています。以下は現在利用可能な機能概要です:
- Level Meter:解像度24bit。2、8、196 ch 対応。主な用途:Peak レベル測定、RMS レベル測定、オーバー検知、位相相関測定、ダイナミック・レンジ測定、S/N 比測定、RMS/Peak 差(ラウドネス)測定、Peak 長期測定、入力チェック。0dBFS 以上のレベル用オーバー・サンプリング・モード。K-System に準拠した視覚設定に対応。
- Hardware Level Meter(Input, Playback とOutput. 用):自由に設定可能 なリファレンス・レベル・メーター。 HDSPe のハードウェアで計算処理されるため、CPU 負荷はほぼゼロ。
- Spectral Analyser:アナログ・バンドパス・フィルター・テクノロジーを使用した独自の10/20/30 バンド・ディスプレイ。192kHz 対応。
- Vector Audio Scope:オシロスコープ・チューブの典型的な残像を表示する世界でもユニークなゴニオ・メーター。相関メーターとレベル・メーターを搭載。
- Totalyser:Spectral Analyser 、Level Meter およびVector Audio Scope を 一つの画面で表示。
- Surround Audio Scope:相関関係を分析できるプロフェッショナルなサラウンド・レベル・メーター。ITU weighting とITU summing meter。
- ITU1770/EBU R128 Meter. 標準化されたラウドネス計測メーター。
- Bit Statistics & Noise:オーディオ信号の真の解像度に加えて、エラーやDC オフセットを表示。dB/dBA 単位のS/N 比測定、およびDC 測定機能搭載。
- Channel Status Display(Windowsのみ):SPDIF およびAES/EBU チャンネル・ステータス・データの詳細な分析と結果表示。
- Global Record(Windowsのみ):最低限のシステム負荷で全チャンネルを長期録音。
- Completely Multi-client:マルチクライアント。計測ウィンドウをいくつでも開くことが可能( すべてのチャンネルで、入出力に関わらず)。
DIGICheckの詳細はこちら
その他の特長
フラッシュ・アップデートによるハードウェアの更新
RMEのフラッシュ・アップデートテクノロジーにより、既存のファームウェアを更新させる事が可能。機能拡張、調整、修正させることができ、常に最先端のOSやその他のソフトウエア環境に対応させることが可能です。
設定画面「Hammerfall DSP Settings」
Settings画面では、HDSPe MADI FXの機能をストレスなくコントロールすることができ、様々なステータスを単純かつ明確に表示します。
複数のデジタルソースが接続されている際、それぞれが正確にロックし同期されていることは必修です。RMEのSyncCheck機能はすべての入力信号をチェックしそれらのステータスを表示します。また最新のIntelligent Clock Controlによってすべてのクロックとステータスを簡単にコントロールすることができます。
すべての設定は、リアルタイムで反映されますので、アプリケーションを再起動したり、OKのクリックやダイアログを閉じる必要はありません。
さらにサンプルレートは、2つのフェーダーで +/- 4% と +/- 0.4% の範囲内で自由にリアルタイム設定できます。
Hammerfall DSP Settings (および、TotalMix)の設定は、メモリに保存されますので、これらすべての設定は、コンピューターを再起動しても保持されますので毎回設定し直す必要はありません。