「BBC Radiophonic Workshop」、そこは40年もの間「不可能な音」が生まれる場所でした。
1958年、「BBC Radiophonic Workshop」はラジオやテレビで使用する効果音や新しい音楽を制作するため、イギリスの公共放送局BBCによって設立されました。シンセサイザーが普及する前から、テープ編集や音響合成を駆使し、未来的で独創的なサウンドを生み出していたことで知られています。
「ドクター・フー」、「グーン・ショー」、「銀河ヒッチハイク・ガイド」をはじめ、BBCの数々の作品に命を吹き込んだ「BBC Radiophonic Workshop」は、想像力のるつぼです。異世界の響きがこだまするその空間は、まさに音の錬金術が紡がれる工房でした。
そして今、この豊かな遺産が新たな息吹とともに蘇ります。「BBC Radiophonic Workshop」の本質が初めて解き放たれ、その精神の故郷であるロンドン・メイダ・ヴェール・スタジオへの扉が遂に開かれるのです。
『BBC RADIOPHONIC WORKSHOP』は、時を超えて響くヴィンテージ・シンセサイザーの旋律、幽玄なテープ・ループ、歴史に刻まれた貴重なアーカイブ、そして「BBC Radiophonic Workshop」の継承者たちによる新たな音の息吹を収録しています。
Spitfire AudioのSOLARエンジンによって再生される壮大な音の遺産は、電子音楽の黎明期を築いた先駆者たちの炎を、未来の音楽家たちへと託していきます。
このライブラリには、「BBC Radiophonic Workshop」の貴重なアーカイブ・テープをサンプリングして作られた音源が含まれていますが、そこには常に「人の手による創造」が息づいています。Workshopが使用していた環境音や初期のシンセサイザーの響きは、現存する「BBC Radiophonic Workshop」のメンバーと新たなコラボレーターによる演奏/サウンド・デザインによって、今ここに新たな形で蘇ります。
「1958年から1968年という、イギリス電子音楽史における唯一無二の時代を保存しつつ、未来の音楽のための楽器を提供する。」━━━ これこそが『BBC RADIOPHONIC WORKSHOP』の使命です。革新者たちが築いた 「サンプリング」という手法を現代へと受け継ぎ、Spitfire Audio が誇る最先端のライブラリ制作技術によって新たな命を吹き込みました。
ヴィンテージ・シンセサイザー、貴重なアーカイブ・テープ、日常の音を見出す探求心、Workshop のメンバーによる演奏。そのすべてが、Spitfire Audio の最先端エンジン SOLAR のもとに集約され、今、あなたの手の中に届けられます。

Workshopはテープ・ループの装置に囲まれ、ランプシェードを叩いてサウンドを生み出すような場所でした。そこは、無数のケーブルとテープ・マシンが並ぶ実験室であり、独創的なインスピレーションが生まれる特別な空間でもありました。
プロデューサーたちは、「蜂の光輪」「耐えがたい異星人の悲鳴」「機械が独りで歌う声」「生きた惑星の響き」といった音を求めてこの工房を訪れ、やがてその時代で最も独創的な電子音を手にして帰っていきました。
Workshopは、「ドクター・フー」に登場する架空のタイムマシン「TARDIS」のエンジン音、エイリアン「Dalek」の声を生み出し、リビングで多くの子供たちをソファの陰へと追いやるほどの恐怖を与えました。しかし、その恐怖は同時に興奮でもあり、創造の喜びでもあったのです。
「今から20年、50年後、このコレクションを使って生み出された音楽が、また新たな創造の道具となるかもしれない。」そう語るのは、Workshopの後継者 Mark Ayres です。
Spitfire Audioチームは、作曲家・サウンドデザイナーであり、『BBC RADIOPHONIC WORKSHOP』のアーカイブ担当者でもある Mark Ayres の案内で、迷路のように広がるアーカイブを探訪しました。Mark Ayres は「ドクター・フー」やその他多くの作品に携わった人物です。
彼は、Workshopの名前の下で現在も活動を続けている他のメンバーたちと共に、この異世界的なコレクションの探求を監督してきました。貴重なEMS VCS 3 シンセサイザー上での新しいパッチや演奏、ランプシェードの合唱、スケルトンギター、テープループ、そしてその他多くの音が収められています。
Workshopは実際の場所であり、手を使って、そして耳を使って、音の世界に触れることができる空間でした。『BBC RADIOPHONIC WORKSHOP』に収められたアーカイブ素材は、Spitfire AudioのSOLARエンジンに保存されており、あなたを同じ体験へと誘います。SOLARエンジンは、これらの歴史的な音響素材に新しい表現を加えるため、さまざまな信号処理の方法を提供します。その中には、古い技術と新しい技術が組み合わされ、さらにオンボードエフェクトを使って、音を歪ませたり、伸ばしたり、変化させたりする現代的な手法が取り入れられています。
『BBC RADIOPHONIC WORKSHOP』には様々なマイクに加えて、EMT ターンテーブル や BBC専用に製作されたRogersのスピーカーが使用され、Maida Vale のプレートリバーブやスプリングリバーブ、さらにモジュラーシンセサイザー、テープマシン、EMS ボコーダー、エコーチャンバー、Rolandのボコーダー SVC-350、Eventide H-3000 を通して処理された音が収められています。アーカイブ・コンテンツ、ファウンド・サウンズ、ジャンク・パーカッション、テープ・ループ、シンセサイザー、そしてその他の珍しい音源の中から好きなものを選ぶことで、あなたのタイムトラベルが始まります。