Brown Sound 78/79 は、モダン・ロックの礎を築いたブラウン・サウンドを再現する、TONEX シグニチャー・コレクションです。当時の機材を忠実に再現し、細部まで徹底してこだわった50種 のTone Modelは、誰もが知るロック・アイコンによる最初の2枚の革新的なアルバムのサウンドを完璧に再現します。
Brown Sound 78/79 は、単に機材の再現にとどまらず、トーンの感触、そしてロックの歴史を定義づけた当時の空気をも再現すべく制作されています。ビンテージ JBL D120 と25W Greenbacks を組み合わせた4×12キャビネットなど、事実に基づくセッティングと、推測を含む構成を織り交ぜることで、驚異的な再現度と、想像的な柔軟性を提供します。さらに Sunset Sound Studio Reverb と組み合わせれば、ギター・サウンドを永遠に変えた、あの時代のトーンを完全に再現できます。
TONEX エコシステムで使用可能な50種の高品位な Tone Model
Serial No.12301仕様にモディファイされた’68年製 Marshall® Super Leadを参照
異なるスピーカーを搭載した複数の1960 Marshall キャビネットを使用
ヴィンテージ・ペダルや Vega™ 製ワイヤレス・システムを経由した信号も収録
当時の録音を再現するために、ヴィンテージのスタジオ機材を使用してキャプチャー
最先端の AI Machine Modeling™ テクノロジーによる高度なトレーニング
無償の TONEX CS を含む、すべての TONEX エコシステムで利用可能
TONEX ハードウェア・ペダル に転送して外出先、ライブで使用可能
特別なアンプ:「 The ONE 」
Brown Sound 78/79 の中核にあるのは、「The ONE」です。これは、1968年製 Marshall® Super Lead(Serial No.12301)とまったく同じスペックで制作されたアンプです。初期ブラウン・サウンドの本質を捉える重要なモディファイも施されており、他のどのアンプよりもそのDNAを忠実に再現しています。
そのサウンドに大きく貢献しているのが、Fat Cap mod です。これはプリアンプの第2ゲイン・ステージに施されたカスタムで、低域のゲインを増幅し、粘りのあるミッドレンジと、音に特徴的なカラーを加えます。 また、オリジナルの Plexi に見られる50K ミッド・ポット(EQ バランスをボーカル・ライクでアグレッシブなミッド・レンジにシフトさせる)との組み合わせにより、初期のブラウン・サウンドの独特の存在感を再現しています。
TONEX の先進的な AI 技術は、アンプ本来のトーンだけでなく、電圧やバイアスの変化に対する有機的な反応やフィーリングまで忠実に捉えます。電圧が下がり、真空管に十分な電力が供給されない状態になると、サウンドはより粘りのあるレスポンスになり、歪みが太く豊かになる傾向があります。TONEX はこうした繊細な挙動も正確に再現します。
このコレクションでは、アンプ内部のバイアスを最大に設定し、Variac™(可変電圧トランス)による電圧設定を68V、89V、78Vの3種類でキャプチャーしています。特に’78 Tone Model では、78V と89V の設定を使用し、すべてのキャビネット構成で収録。電圧とスピーカーの組み合わせによって生まれる微妙なサウンドやフィールの違いを体感できます。
’78 Tone Model では、出力管のうち4番と5番を取り外し、従来のプッシュ/プル回路をあえて崩しています。これにより、非対称な「プル・オンリー」の歪みが生まれ、’78特有の粘りとサスティン、そしてエッジ感が加わっています。電圧を89Vに設定した場合、ゲインはやや抑えめながら引き締まったサウンドに。対して78Vではよりルーズなレスポンスとなり、わずかにゲインも増加し、タッピングやリード・プレイに最適なトーンとなります。
’79年 Tone Model では、すべての出力管(4本)を使用し、Variac™を68Vに設定しました。この設定により、アルバム全体で聴けるような、より攻撃的でありながらわずかにクリアなトーンが得られます。アンプがまるで呼吸するかのようなダイナミクスに富んだ反応を示しつつ、ナチュラルなコンプレッションによってレガート・フレーズが滑らかに繋がる、一体感のあるサウンドが生まれます。
すべての Tone Model は、レコーディング時の雰囲気を可能な限り忠実に捉えるため、クラシックな SM57マイクで収音され、ビンテージ・スタイルのアナログ・コンソールを通して処理されています。各トーンは実際のスタジオ・ミックスのように丁寧に仕上げられ、その結果として得られるサウンドは、当時のアルバムに驚くほど近いものとなっています。PAF スタイルのピックアップを搭載したギターを接続すれば、まるで1978~79年頃の Sunset Sound Studio に足を踏み入れたような感覚を味わえるでしょう。一部の Tone Model では、U67マイクをキャビネットからやや距離を取って設置することで、低域の共鳴感を高めながら高域を柔らかく仕上げており、より明るく輪郭のあるトーンとのダブル・トラッキングに最適なトーンとなっています。
さらにエッジの効いたサウンドを求めるプレイヤーのために、アナログ・マイクプリアンプをより強くドライブさせ、ゲインとサチュレーションを加えた「Hot」Tone Model も収録しています。これは、初期の多くのレコーディングで聴かれるサウンドそのものです。
本コレクションには、Vega ワイヤレス・システムを使用したキャプチャーもいくつか収録されています。多くの著名なギタリストが、わずかなコンプレッションと繊細な音の太さを得るため、スタジオ録音時にもこのワイヤレスを使用していたことで知られています。 このコレクションでは、Vega を通した Tone Model と、通していない Tone Model の両方を収録しており、好みに応じて選択できます。また、トランスミッターのゲインは3段階キャプチャーされており、標準設定に加えて、2段階の低ゲイン設定も選択可能。これにより、出力の高いピックアップでも音が飽和せず、より明瞭なトーンを維持できます。
コレクション誕生の舞台裏
Jim Gaustad のギター・サウンドへの情熱は、1970年代後半、ヴァン・ヘイレンのデビュー・アルバムを聴いたことから始まりました。12歳でプロとして演奏を始め、80年代にはオリジナル・バンドで全米ツアーも経験。その間も常に理想のサウンドを追い求め、ツアー先でアンプを修理・改造したり、ヴィンテージの Marshall をチューンしたり、余ったパーツでカスタム・ピックアップを自作するなど、探求心は尽きることがありませんでした。 その情熱はやがて、ヴァン・ヘイレンのオリジナル機材とサウンドを忠実に再現する「The G Men」というトリビュート・バンドの結成へとつながります。エディ・ヴァン・ヘイレンの死後、ジムは YouTube で「Brown Sound Quest」を開始。ヴィンテージ回路、スタジオ技術、シグナル・チェーンに深く切り込み、彼の創作の原点である伝説のトーンへのオマージュを続けています。