エクスペリメンタルなハイブリッド・シンセ
他の何にも似ていないシンセサイザー、MicroFreakは異彩を放ち、ミュージシャンの好奇心をかき立てる他とは違う楽器です。ウェーブテーブルやデジタル・オシレーターとアナログ・フィルターとの融合、ユニークなポリアフタータッチが可能なフラット・キーボード、制御可能なランダム性をシーケンスに採り入れることもできます。革命ではなく反乱、そんなシンセサイザーがMicroFreakです。
狂気を解明する
一見穏やかではありませんし、大丈夫なの?と思われるかも知れませんが、MicroFreakはわかりやすく、すぐに使い方をマスターできます。
どの機能もわかりやすいマーキングや配置で簡単にアクセスできてコントロールでき、創造性はさらに加速します。MicroFreakのユニークさがよくわかる機能などをいくつかご紹介します。
それぞれのサウンド
MicroFreakのオシレーターの各モード切り替えや音色コントロールはデジタル・オシレーター・セクションにある4つのノブで簡単かつダイレクトに行えます。Typeノブでモードを選び、Wave、Timbre、Shapeの各ノブでそのモードの音色を作ります。
MicroFreakは発売以来、常に進化し続けています。現在、16種類のオシレーター・タイプがあり、スイートなものから激しいものまで、様々な音色をカバーしています。ここでは、そのオシレーター・モードをご紹介します。
ユーザーのウェーブテーブルファイルやWAVファイル、AIFFファイルなどをロードできる、ひと味違ったWavetableオシレーターです。テーブル、ポジション、ビットデプスのコントロールで、サウンドを彩ります。
人の声やその他の音源が持つ複雑な倍音を正確に検出し、再現、処理するために設計された16バンドのエンジンです。
パーティクルノイズ、ホワイトノイズ、シンセシンバルを彷彿とさせるメタリックノイズの間でモーフィングします。一風変わったドラムやパーカッションの音に最適なサウンドです。
デチューンされたノコギリ波、矩形波、サイン波、三角波から選択でき、分厚いシンセ・サウンドを作れます。トランスや濃密でドリーミーなパッド音色に最適です。
32個のサイン波それぞれの音量をコントロールして音色を作る方式です。名前が示す通り、このエンジンでは倍音が豊かできらめくような音色を作ることができ、フィルターでの加工も可能です。
弦楽器のサウンドを再現するフィジカル・モデリングで、柔らかなピチカートからきしるような魅力的なコードまで幅広く変化します。
波形をスキャンすることで少し変わったタイプの動きのあるサウンドが作れます。16種類のウェーブテーブルを内蔵し、今後さらに拡張する予定です。
矩形波とノコギリ波という2つの基本波形をエミュレートするオシレーターです。矩形波は奇数倍音のみを含み、ノコギリ波は奇数倍音と偶数倍音の両方を含んでおり、異なる2つの必要不可欠なサウンドを備えています。
MicroFreakにはユーロラック界のレジェンドであるMutable Instrumentsが開発したオープンソースのPlaitsオシレーターも内蔵し、次の7種類のシンセ・モードも使用できます。MicroFreakのオシレーターは基本的にはモノフォニックですが、パラフォニック・モードにすることで最大4ボイスの演奏もできます。
トラディショナルなシンセの音源方式をデジタルで再現したヴァーチャル・アナログです。定番サウンドから最先端サウンドまで多彩なサウンドを作れます。
三角波にウェーブシェイピングをかけて音色がアグレッシブに、そしてメタリックに変化していくオシレーターです。
シンプルながらパワフルな2オペレーター・タイプのFMオシレーターで、2つのサイン波の位相を相互変調してシャープで独特のトーンを作り出します。
パーカッシブなグラニュラー・シンセシス・エンジンです。リズム・シーケンスにテクスチャー感や厚みを加えるのに適しています。
パラフォニックのシンセ・エンジンでボイスごとの音程のインターバルを設定してワンキーで和音をプレイできます。トランス風のメロディ音色に最適です。
母音やフォルマントを作り、簡単な単語を発音します。モジュレーション・マトリクスでパラメーターの動きを作ることでMicroFreakの「声」を聴けます。
中空構造に特有の不協和な振動や共鳴を再現します。楽曲にテクスチャー感を追加したり、変わったサウンドを付け足したいときなどに効果的です。
LAモジュラー界の巨匠Noise Engineeringとのコラボレーションによる3つの新アルゴリズム。ウェーブフォールディング、フェイズモジュレーション、ハーモニックマニピュレーションを組み合わせたこれらの凶悪なサウンドは、MicroFreakをこれまで以上にデジタルの高みへと押し上げるものとなりました。
SawXは、シンプルなノコギリ波をコーラスやフェイズ・モジュレーションで加工することで、音の鋭さを極限まで高め、SuperSawのようなサウンドを作ることができます。
基音に倍音をミックスして音色を作れるのがHarmオシレーターです。濃密なオクターブの倍音や、倍音の調整をすることで、キラリと光るサウンドが作れます。
ノンリニアのウェーブシェイピング・アルゴリズムにより、ユニークな波形を作り出します。ベースは、ヘビーで濃厚な低音やグリッチサウンドのような低音を生み出せます。
フィルター
デジタル・オシレーターとアナログ・フィルターのコンビネーションはパワフルなものです。オシレーターのシャープで澄んだサウンドを、伝説的なオーバーハイムSEMフィルターをベースにした12dB/octフィルターでさらに美しく加工できます。
低音成分はそのまま通過し、高音成分を減衰させるタイプです。アグレッシブなサウンドを柔らかなトーンにしたり、ダークで不穏なサウンドにするのに適しています。
バンドパス
特定の帯域のみを通過させるタイプです。究極のサウンドシェイパーです。
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ハイパス
低域のモコモコ感をカットしてブライトでエキサイトしたサウンドや、ブレイク前のテンションを上げる上昇音などに適したタイプです。
ステップを踏んで驚きのサウンドに
コンパクトなサイズにもかかわらず、MicroFreakは大型機が悔しがるようなモジュレーション・マトリクスや先進的な機能を搭載しています。
5つのソースと7つのデスティネーションから選択でき、他では出せないユニークなサウンドを作り出せます。デスティネーションのうち3つはユーザー・アサインも可能です。
モジュレーションの設定はクリッカブル・タイプのMatrixノブと、わかりやすい点灯式マトリクス、詳細情報を表示するOLEDスクリーンで簡単に行え、操作に迷うことはありません。ソースとデスティネーションの設定はマトリクスを見て、クリックして選び、モジュレーションの深さを調節して完了です。簡単ですし素早くできますし、楽しく設定できます。MicroFreakの10倍も価格が高い高級機に引けを取らないパワフルなサウンドを作れます。
アクシデントすら楽しくなる
MicroFreakのシーケンサーはかつてのシーケンサーではありません。アルペジエイターとシーケンサーのデュアル・モードで、アイディアが噴き出す仕掛けが詰まったシーケンサーです。
スパイス
Spiceパラメーターのレベルを調節すると、文字通りシーケンスにスパイスが利いてきます。シーケンスのピッチをエディットすることなく、新たなパターンを作成できます。
ダイス
Diceを選択すると、タッチストリップでシーケンスがランダムに変化して、思わぬ変化から新たなアイディアを発見できます。
MicroFreakのタッチ式インターフェイスはこれまでほとんど見られなかったものです。フラットでタッチセンス対応、可動パーツがないキーボードは、馴染みの薄いものかも知れませんが、使用感は極めてナチュラルです。
25鍵のプリント基板式キーボードは単に素早いフレーズに追従できるだけでなく、各キー個別にプレッシャーやアフタータッチの検出も可能です。MicroFreak単体での使用も十分にエキサイティングですが、MicroFreakをMIDIコントローラーとして使用し、MPE(MIDIポリフォニック・エクスプレッション)やポリフォニック・アフタータッチに対応したヴァーチャル・インストゥルメントのコントロールにも最適です。
キーボードの上にあるタッチストリップはシーケンサーの主要パラメーターのコントロールや、ピッチベンドとしても、シーケンスのスパイスやダイス機能のコントロールにも使用できます。
サイズを超えた多彩な機能
2012年にデビューしたArturia MiniBruteが低価格アナログ・シンセの新たなスタンダードを打ち立てたのと同じく、MicroFreakもローコスト・デジタル・シンセでできることを再定義する1台なのです。
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エキサイティングなプリセット
いきなり音作りから始めてそのシンセの可能性を探るのも最高に楽しいのですが、プリセットを試してインスピレーションを得るのも手っ取り早い方法です。MicroFreakには何百ものプリセットが内蔵され、それらをエディットしてオリジナル音色としてメモリーできます。クリッカブル・タイプのPresetノブでプリセット選択やアサイン、リネームなどが簡単に行なえます。
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定番のシンセ機能
2つのユニークなエンベロープ、シンク可能なLFOなど、各パラメーターにそれぞれ専用ノブを配置してわかりやすく音作りができます。サイクリング・エンベロープはループ・モードにすることができ、ライズ、ホールド、フォールの各タイムを調節することで複雑な「波形」のLFOのように使用できます。しかもエンベロープのカーブをエクスポネンシャル、リニア、ログカーブから選択できます。
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驚異的な接続性
CVアウトからはピッチ、ゲート、プレッシャーの各信号を出力でき、CV/Gate対応の外部機器やモジュラー・シンセをコントロールできます。DAWとはUSBのほか付属のMIDIブレイクアウト・ケーブルでも接続できます。これにより、コントローラー・キーボードとMicroFreakを接続したり、MicroFreakのシーケンサーで外部シンセを演奏させることなどもできます。
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パワフルなモジュレーター
「よう、お前モジュレーターが好きなんだって?じゃ、もっとモジュレーター乗っけてやるよ」
そうなんです。MicroFreakのモジュレーション・マトリクスでは、モジュレーター(モジュレーション・ソース)同士を結び付けることができ、極めてエクスペリメンタルな音作りも可能です。恐らく、ローコスト・シンセでは前例がないでしょう。
念のために申し上げておきますが、今までご紹介してきました内容は膨大な機能を内蔵して、操作が複雑で、高価なシンセの話ではありません。お求めやすい価格の、ぽっと出のデジタル機の話です。そして、より多くの方々に体験していただきたいと思っています。
よくわかった。で、実際の音はどうなの?
ですよね?能書きもいいのですが、大事なのはMicroFreakが実際どんな音なのかです。この小さなシンセには何百種類もののプリセットが入っていますが、その中からこのシンセでどこまでできるのかがわかるような音色をいくつかご紹介します。
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