Chandler Limited / RS660 =Fairchild 660 Style Compressor=

BAL.コントロールセットは、回路のバランスを調整するユーティリティです。

プッシュプルアンプでは、一方が波形を押し出し、もう一方が波形を引っ張るという動作が等しく行われます。時間が経つと、プッシュ/プルのバランスが不規則になり、その結果、オーディオに不要なアーチファクトが発生することがあります。これは、RS660を含むほとんどの真空管コンプレッサーに共通する現象です。

プッシュ／プル回路がアンバランスになると、ソース信号に微妙なノイズや歪み、変調が生じることがあります。これは音楽の静かな部分や低周波数でより顕著になります。RS660がアンバランスになったと思われる場合は、スイッチを押し込み、そのまま保持します。この動作により、モニター出力にクリック音が聞こえます。小さなマイナスドライバーでトリムポット（[BAL.]ラベルの上）をゆっくりと調整し、モニターからカチカチという音がほとんど聞こえなくなるように調整します。カチカチ音が最小になれば、コンプレッションチューブのリバランスは完了です。

ゲインリダクションメーターによって、オリジナルソースに加えられたコンプレッション量を観察する ことができます。表示範囲は、右から左へデシベル（dB）単位で表示されます（0～30）

INPUTは可変コントロールで、コンプレッサー後部のXLRインプットコネクタに入力される信号を調整することができます。。INPUTコントロールは、左から0～10と表示されています。

RS660は、バリアブルミュータイプのコンプレッション回路です。INPUT コントロールを右に回すと、入力信号のレベルが上がり、左に回すと下がります。コンプレッサーのスレッショルドを下げ、ソースに適用されるコンプレッション量を増加させます。

INPUTコントロールを反時計回りに回すと、入力される信号レベルが下がると同時に、スレッショルドが上がり、ソース素材に適用されるコンプレッション量が下がります。

OUTPUT コントロールは可変式のアッテネータです。このコントロールで RS660 の出力レベル全体を下げます。右から左へ反時計回りに回すと、0から始まり-10まで、RS660 の出力信号が希望のレベルまで減衰します。

RS660コンプレッサーは、LINK機能により、他のユニットとカップリングしてステレオ構成で使用することができます。

RS660コンプレッサーは、3つの動作モード（THD、LIMIT、COMP）を備えており、3ポジションのセレクタースイッチで設定が可能です。

・THD.

THD (Total Harmonic Distortion) モードは、Chandler Limited TG1 と TG12413 Zener Limiterなどと同じように、THD回路の影響だけを信号に与えるモードです。コンプレッサーモードセレクタースイッチをTHDに設定すると、RS660はコンプレッションやリミッター回路を使用せずに、オーバードライブ、ヘビーからライトなハーモニックディストーションを含む倍音を生成し、信号に色付けのみを加えることができます。

・LIMIT.

LIMITは、RS660のリミッターモードです。LIMITモードは高速で色付けの強いリミッティングを提供します。あらゆる音源に活き活きとしたエキサイティングさを加えます。LIMITはビンテージなリミッティングサウンドを呼び起こし、COMPよりも比較的色付けが多くなります。

COMP.

COMPは、RS660のコンプレッションモードです。COMP モードは、スレッショルド、ニーまたはカーブ、およびゲインストラクチャーなど、ゲインリダクションのいくつかの特性を同時に変更します。COMP モードでは、スレッショルドは高く、コンプレッションの開始は低くなり、ニーはよりスムーズでアグレッシブさを抑えたキャラクターになります。ゲインストラクチャーも低くなり、コンプレッサーをあまりプッシュしなくなります。その結果、ビンテージトーンを維持しながら、よりコントロールされたサウンドとなります。

RS660 Compressor のTIME CONSTANTスイッチは、コンプレッサーの反応性またはレスポンスタイムを設定するために使用され、7つのポジションを備えています。7つのTIME CONSTANTポジションには[1-7]の印字があり、ポジション1が最も速く、ポジション7が最も遅くなります。

ポジション1～3は高速で、Fairchild 660の高速で最も好まれるセッティングを再現することを意図しています。これら最初の3つのセッティングは、色彩豊かでビンテージなトーンを生み出します。

ポジション4は速い設定と遅い設定の中間的な存在です。このポジションは色付けの少ないボーカルやギターに最適です。

ポジション5-7は意図的にかなり遅く、EMI RS124を含む多くのビンテージ真空管コンプレッサーの穏やかで色付けのない、アーティファクトの少ないコンプレッションを再現できるポジションです。

パワースイッチです。

Chandler Limited RS660コンプレッサーは、内部電源を搭載しています。接続は、付属のIEC電源ケーブルを使って、IECレセプタクルで行います。電源は、120Vまたは220Vで動作するように内部で設定されています。

回路の保護は、0.25A（250mA）250VのSLO-BLOヒューズによって行われ、バヨネット式ヒューズアセンブリによってアクセスできます。

RS660コンプレッサー のリアパネルには、INPUT と OUTPUT の 2 つの XLR ジャック（2番ホット） があります。入力と出力は共に+4dB トランスバランスです。

2台のRS660コンプレッサーは、ユニット背面の1/4インチLINKメスコネクターと標準1/4インチケーブルで、ステレオリンクすることができます

出力インピーダンスは600/200オームの切り替えが可能です。現代のスタジオ環境では 600 Ωの方が使いやすい場合があります。200 オーム設定は、アビー・ロード・スタジオの歴史的なスタンダードとなっています。両設定とも、音質とゲインに違いがあります。

RS660コンプレッサー のリアパネルには、INPUT と OUTPUT の 2 つの XLR ジャック（2番ホット） があります。入力と出力は共に+4dB トランスバランスです。入力インピーダンスは15kオームです。