デジタルにアナログの息吹を
マルチ・モードを備えたハーモニック・サチュレーション・プロセッサー
真空管、テープ、変圧器。アナログの録音機器での音楽制作経験がある方なら、こうしたアナログ機器の特性の違いによるサチュレーションに馴染みのあることでしょう。こうした効果がトラックやミックス全体に及ぼす効果を懐かしむ方もいることでしょう。
サチュレーション効果とそれに伴う倍音特性の変化は、トラックやミックス全体にある種の暖かみとサウンドの色合いを加えてくれます。こうした効果は磁気テープや真空管、変圧器、トランジスターなどアナログ・メディア / 機器に特有のもので、デジタルの領域ではけして真似のできないものです。T-RackS Saturator Xは、デジタル・レコーディングに、古典的なアナログ録音機器ならではの歪みと倍音を加え、暖かく存在感の有るサウンドに仕上げることができるプロセッサーです。
暖かみのあるサウンドから
クリエイティブでアグレッシヴなサウンドまで
テープ、真空管、変圧器、トランジスター。一口にサチュレーションといっても、メディアや回路によってそのサウンドの色合いは異なります。T-RackS Saturator Xは、10種類のモードを備えていますから、デジタル・サウンドに暖かみと色合いを加えてくれるわずかな歪みから、アグレッシヴで押しの強いオーバードライブ、そして時には極端な変化を加えてアーティスティックな音作りに至るまで、幅広い用途に対応します。
シンプルながらも自由度の高いUI
Saturator Xのユーザー・インターフェースは極めてシンプルで、直観的に操作することができます。10種類のサチュレーション・モードを備えており、シンプルなデザインながらもその自由度は極めて高いと言えるでしょう。DAWのプラグインとしても、T-RackS CSシェルのシグナル・チェインとしてもご使用いただけますから、幅広い目的での使用が可能です。
Saturator Xのユーザー・インターフェースは、それぞれ独立しても、リンクさせても調節が可能なインプット・ゲインとアウトプット・ドライブ、10種類のサチュレーション・モードの選択、ブリックウォール・リミッターのオン / オフ、そしてオーバーサンプリング値の設定といったパラメータを備えています。
インプット・ゲインとアウトプット・レヴェルはそれぞれ独立して設定可能です。サチュレーション効果を加える度合い、効果が出力される度合いを自由に設定可能です。リンク機能によりインプット・ゲインとアウトプット・レヴェルの相対的な比を保ったまま、調節を加えることも可能です。こうした機能により、まず最終的な音量レヴェルを設定してから、サチュレーション効果を加える度合いを設定することができるのです。
10種類の「アナログ」モデル
T-RackS Saturator Xには、2種類のテープ、2種類の真空管、2種類のソリッド・ステート、2種類の変圧器、そして2種類のマスター・モード(+6dBと+12dB)など、計10種類のサチュレーション・モードが用意されています。
この10種類のモードにより、変圧器の微妙なサウンドの色合いの変化から、真空管のアグレッシヴなディストーション、アナログ・テープの高域の減衰など幅広いサウンドを再現することができるのです。
T-RackS Saturator Xに装備されているモードは:
Tape 1
このモードは、アナログ・テープ・レコーダー独特の、一定の録音レヴェルを越えた時に生じる高域の特性の減衰をモデリングしたものです。
Tape 2
Tape 1同様、アナログ・テープの周波数特性をモデリングしたものです。よりローファイな、歪みと高域の特性の減衰をモデリングしています。
Master +6dB
このモードは、最終的なマスタリングにRMSレヴェルを加えて「太い」サウンドにすることで、存在感のあるミックスに仕上げることができます。
Master + 12dB
Master +6dBに似た振る舞いをしますが、より強いサチュレーション効果を得ることができます。
Tube 1 – Push Pull
このモードはヴィンテージな真空管のサチュレーションをモデリングしたものです。プッシュ / プル駆動回路のクリッピングにより奇数次倍音が加わり、パンチのあるアグレッシヴな効果を得ることができます。
Tube 2 – Class A
このモードは、Class Aデザインの真空管サチュレーションをモデリングしたもので、偶数次倍音が加わります。この効果をわずかに加えることで、アナログならではの豊かで暖かみのあるサウンドに仕上げることができます。
Solid State 1 – Push Pull
Tube 1モードと似ていますが、ソリッド・ステート回路のよりアグレッシヴな特徴を再現したものです。このモードは、トランジェントを活かしたい時に便利なモードです。
Solid State 2 – Class A
Tube 2モードと似ていますが、ソリッド・ステート回路のよりアグレッシヴな特徴を再現したものです、より明確なトランジェントのレスポンスを得ることができます。
Transformer – Iron
このモードは鉄心変圧器の振る舞いをモデリングしたものです。偶数次倍音が微妙に減衰することで、サウンドの微妙な色合いが変化します。微妙なサチュレーション効果を狙うような場合に、便利なモードです。
Transformer – Steel
このモードは鋼心変圧器の振る舞いをモデリングしたものです。偶数次倍音、奇数次倍音ともに変化させることで、鉄心変圧器のそれとはまた違ったサウンドの色合いの変化を得ることができます。
マジック・アイ・メーター
Saturator Xは、そのユーザー・インターフェースとして、「マジック・アイ(同調指示管)」タイプのVUメーターを備えており、見た目のヴィンテージ感ばかりでなく、音声処理の視認性にも優れています。
不自然な歪みを避ける
ブリックウォール・リミッター
Saturator Xは、クリッピング・レヴェルを自動的に監視してくれるブリックウォール・リミッター機能を備えており、サチュレーション・レベルを上げ過ぎて不自然なデジタル・ディストーション / クリッピングを生じさせてしまい、せっかくのレコーディングを台無しにしてしまうこともありません。
オーバーサンプリングにも対応
Saturator Xはオーバーサンプリング機能も備えており、ハイレゾで内部処理することにより、オリジナルのレコーディングを損なうことなく、より高品位な倍音パターンの変化や処理全体のクォリティを得ることができます。
プラグインとしてもスタンドアロンとしても
T-RackS Saturator Xはお気に入りのDAWでプラグインとして、またはT-RackS CSシェル・アプリケーション / プラグインのシグナル・チェインとして使用することができます。例えば、お気に入りのDAWでプラグインとしてトラックにインサートし、特定のパートにのみサチュレーションを加えたり、T-RackS CSのシグナル・チェインの1つとして使用し、完成したミックス全体にアナログ・レコーディングの雰囲気を加えたり、といったことが可能です。