ステレオ・チューブ・EQ
Massive Passive Stereo Tube EQ は、サウンド、ルックス、そのすべてが荘厳なイコライザーです。
厳選された金属皮膜抵抗、フィルムコンデンサー、熟練工による手巻きのインダクターといった贅沢な仕様により、精密なサウンド補正から大胆かつ明白な音色の彩りまでを実現。
Manley Laboratories ならではのチューブステージによって、歯擦音を強調しない音楽的で自然なトレブルブーストと、よどみのない強烈な太さを与えてくれます – まるで増強された “パルテックEQ” のように!
百聞は一見にしかず
Manley のコンプ / リミッター Stereo Variable Mu® Limiter Compressor やチャンネルストリップ VOXBOX® はそのルックスだけで成功したのでしょうか?
いいえ、その評価は特別なサウンドと使用感によって得られたものです。この Massive Passive も例外ではありません。まずはその音を聴き、ノブに触れてみてください。すでに Massive Passive を愛用しているエンジニアたちからは、「どうしてこんなにも音を良くしてくれるんだ?」「自然でむちゃくちゃ素晴らしい」「超強力」「他のEQとは違う」「今まで思い描いてたけど実現できなかった、夢のようなサウンドがする」など、賞賛の言葉を数多く頂いています。
Massive Passive の名の由来
Massive Passive は4バンドイコライザーにハイパスとローパスフィルターを装備した2チャンネルのEQです。「パッシブ」という名の通り、音色に作用するEQ部はアクティブ回路を一切排した自慢の新設計によって構成されています。厳選された金属皮膜抵抗やフィルムコンデンサーと職人による手巻きのインダクターのみが使われ、そのサウンドは定評あるパルテックEQを強化したものと言えるでしょう。そしてここに用意されたオールチューブアンプは見た目の通りに肉厚で、余裕たっぷりのヘッドルームとゲインの引き上げを可能とし、サウンドに新しい境地をもたらします。「マッシブ」は言うまでもなくこのモンスターEQにふさわしい言葉です。この感覚をぜひ体験してください!
自然でオーガニック、そしてアコースティックなトーンを備えるEQ処理を行う場合、まず信号そのものの経路が自然でなくてはなりません。そのため、Massive Passive は複雑な回路構成を可能な限り排し、厳選されたシンプルなパッシブパーツのみで構成されています。また、Manley はこれまでの経験から、レコーディングやマスタリングEQはアーティストが思い描いた「音のゴール」に到達するため、時には補正を超える大胆な操作が求められるケースがあることも知っています。よってこのEQは、技術的な部分よりも音楽的な部分に少し重点を置き仕上げられています。トラッキング時にしばし必要とされる大幅なイコライジングから、マスタリングやボーカル処理における精密な調整までに対応することができるのです。このEQ設計は一般的なものとは根本から異なりますが、パルテックEQ、優れたコンソールEQ、パラメトリックとグラフィックEQからそれぞれのベストなエッセンスが取り入れられています。
そして Massive Passive の最も注目すべき点は、その設計や見た目ではありません。たとえこれまでの倍以上にイコライジングを施しても、音の脚色は半分しかありません。つまり、強烈なトレブルブーストをかけても歯擦音は強調されることなく、信じられないほどの図太さを与えても、中低域に濁りはなく明瞭なままです – これが Massive Passive の素晴らしさなのです。このことにより、感性と創造性の赴くまま、より積極的、あるいは挑戦的なEQ操作を可能にします。
ここまで、そのサウンドの素晴らしさを様々な言葉で表現してきましたが、やはりその音は実際に体験していただきたいと強く願います。そう、言葉だけでは伝わりません。最終判断はご自身の耳で!Massive Passive にはギミックや一般的な技術は使われていませんので、これまでの常識では計り知れないものが存在します。何度も繰り返します。体験しないとその魅力や素晴らしさは分かりません!
パラメトリック・フリケンシー
ロー
22、33、47、68、100、150、220、330、470、680、1K
ローミッド
82、120、180、270、390、560、820、1K2、1K8、2K7、3K9
ハイミッド
220、330、470、680、1K、1K5、2K2、3K3、4K7、6K8、10K
ハイ
560、820、1K2、1K8、2K7、3K9、5K6、8K2、12K、16K、27K
フィルター
ローパスフィルター
6 kHz、7K5、9 kHz (18 dB / octave)
12 kHz (24 dB / octave)
18 kHz (60 dB / octave)
OFF
ハイパスフィルター
22、39、68、120、220 Hz (18 dB / octave)
OFF
Massive Passive Stereo Tube EQ Mastering Version
Massive Passive はパッシブ設計であり、真の意味での「パラメトリック」ではありません。パラメトリックEQのコントロールは相互作用することはありませんが、Massive Passive の “GAIN” と “BANDWIDTH” は(あえて)作用し合うようになっています。このため私たちは “GAIN” を一貫した1/2ステップ刻みのスイッチにすることはできませんでした – これは “BANDWIDTH” を変更した際に、そのステップサイズも変化するためです。
通常バージョンの Massive Passive では、ベルモードでバンド幅を時計回りに回しきった(最も狭くした)際、あるいはシェルビングモードでバンド幅を反時計回りに回しきった際にのみ、最大 20 dB ブーストまたはカットを行うことができます。
一方、マスタリングバージョンでは最大のブースト/カット量は 11 dB となります。逆の設定をした場合、ベルモードのバンド幅最大時のブースト/カット量は 6 dB で、最も狭いシェルビングモードのバンド幅では 12 dB になります。同じことが “BANDWIDTH” の設定にも言えます。つまり、このマスタリングバージョンでは目盛通りの確実なdB設定を期待してはいけません(これはバンド幅によって変化するためです)。ただし、いかなるステップ幅であろうと、これは16ステップ式スイッチになっているため、(記録を取ってさえいれば)設定の確実な再現が可能です。”FREQUENCY” 設定もステップ刻みになっており、シェルビングモードでは相互作用が起きます。
同じく注意すべき点として、Massive Passive は「パラレル設計」であり、従来の直列設計ではありません。このことは、各バンドが作用し合うことを意味しています。例えば、ある帯域を 20 dB ブーストし、別のバンドで同じ、あるいは近い周波数を選んでブーストを行った場合、その部分の音量はほんのわずかしか持ち上がりません。通常の「直列」仕様のEQで同じことを行った場合、その帯域は 40 dB ブーストされ、信号過多となります。つまり、バンドの周波数設定が作用し合うため、ステップサイズによる効果を予測するのは現実的ではありません – 良いサウンドのEQ処理が行えた時にパネルの状態を見てみると、もしかすると通常のEQでは見られないような設定になっている場合もあるかもしれません。
Massive Passive は他のどのEQとも異なり、EQを施した際のいわゆる「処理感」はあまりしません。つまり、5 ~ 6 dB 程度の設定においても、他のマスタリングEQより積極的に扱うことができるのです。思っている以上にイコライジングを施しても自然な結果を得ることができるので、熟練したエンジニアでさえも驚くほどです。開発初期の段階では11ポジションの Grayhill スイッチを導入し、1/2ステップにすることも考えられましたが、それでは最大で 5.5 dB しか得ることができません。前述の説明を思い出してください。この場合最小レンジが 1.5 dB となり、ステップサイズはおよそ 0.2 dB になります。なお、このマスタリング・バージョンでは、特別に設計された精密なステップ式ノブが採用されています。設定を完璧に再現することができるのが Massive Passive マスタリング・バージョンの特徴のひとつです。
マスタリング・バージョンのマスターゲイントリムは、11ポジション、1/2 dB ステップの Grayhill スイッチを使用し、-2.5~+2.5 dB の範囲で正確に設定できます。これにより左右のレベルマッチングを精密に行うことが可能です。
また、マスタリング・バージョンでは言葉通り「マスタリング用」としてカスタマイズされたフィルターを装備しています。もし、電話音のようなドラスティックな効果を求める場合には、通常バージョンの Massive Passive をお勧めします。
ローパスフィルター
15 kHz、20 kHz、27 kHz、40 kHz (18 dB / octave)
52 kHz (30 dB / octave)
OFF
ハイパスフィルター
12、16、23、30、39 Hz (18 dB / octave)
OFF
通常バージョンかマスタリングバージョンかを決めかねている場合、まずは通常版の Massive Passive を実際のセッションでお試しになられることをお勧めします。なお、これまで経験したEQを想像しないでください。とくに Massive Passive をこれらの代替え品として考えるのは完全に間違っています。お試しいただければ、すぐにこの意味がお分かりになるでしょう。
既存の通常バージョンを後からマスタリング・バージョンへ改造することはできません。その逆もしかりです。