トリプルステージ処理
ほとんどのトランジェント・シェイパーで見られる従来の「アタック」「サステイン」に加えて、独自のトリプルステージ処理を形成する「ボディ」という中間ステージを導入しています。Three-body Technologyの革新的な検出 / 処理アルゴリズムによって処理されるトリプルステージは、オーディオ要素の正確な識別と調整を保証します。
ボディ・ステージとは
ドラムヒットを例に挙げると、2ステージのトランジェントシェイパーでは、通常、ヒットの最初の1-10ミリ秒がアタック・ステージとして識別され、その後すべてがサステイン・ステージにまとめられます。このアプローチでは、サステイン・ステージにヒットのディケイやリバーブだけでなく、録音時に混入したノイズも含まれてしまいます。その結果、サステイン・ステージに対する調整は、トランジェントの最初の10ミリ秒後に発生するすべての音に影響を与えてしまいます。
『TRINITY SHAPER』のボディ・ステージは、トランジェントの20-50ミリ秒後のコンテンツをユニークにターゲットし、ドラムヒットの「ディケイ」部分をほぼ分離するため、ディケイとサステイン(「テール」部分)を個別に調整できる自由度を提供します。
さらに、アタック・ステージとボディ・ステージの長さをそれぞれ調節可能なため、特定のセグメントを驚くべき精度で狙うことができます。
卓越した音質
Three-body Technologyの『Cenozoix Compressor』にも登場したADAA(Anti-Derivative Anti-Aliasing)テクノロジーにより、デジタル処理特有の歪みや音の劣化を最小限に抑え、原音のニュアンスを忠実に再現します。洗練されたエンベロープ検出アルゴリズムによって、いずれかのステージをブーストまたはリダクションしても、常に透明感を保ちます。
ADAA – Anti-Derivative Anti-Aliasing
Anti-Derivative Anti-Aliasing は、オーバーサンプリングを使用せずに、ノンリニア・オーディオ処理におけるエイリアシングの発生を低減する方法です。これは、ディスクリートサンプリングのポイントを連続信号に変換し、システムに無制限のサンプルレートを提供することでエイリアシングを著しく低減します。この技法は当初、Native Instruments社によって発明され、その後、徐々に多くのウェーブシェイパーに利用されるようになりました。
フォーカス・フィルター
フォーカス・フィルターを使えば、特定の周波数だけをピンポイントで調整できます。
シングルバンド・モード
「アタック」「ボディ」「サステイン」各ステージごとに、ハイパス・フィルターとローパス・フィルターを使用して処理対象の周波数帯を「フォーカス」することができます。スネアのアタックをブーストする場合、高域のクリックを強調することなくスネアのトーンを引き締めるために、低中域にフォーカス。ボディをブーストする場合、低域を濁らせることなくパンチを増すために、中高域にフォーカス。サステインを減衰させる場合、高域にフォーカスして鳴りを保ちながらテールを減らすことができます。
マルチバンド・モード
マルチバンド・モードは、複雑なオーディオコンテンツの処理に優れています。入力されるオーディオを4つの帯域に分割し、帯域ごとにトランジェントを調整することで更に精密なダイナミクス修正が可能になります。シングルバンド・モードは個々の楽器を効果的に処理することができますが、マルチバンドモードはバスやミックス全体を「飼いならす」ための柔軟性を提供します。各バンドでアタック、ボディ、サステインを個別に調整可能。マルチバンド・モードの「Perfect Reconstruction Filter Banks」アルゴリズムは、ゲイン処理が適用されていない場合、ゼロレイテンシーとゼロ静的位相シフトを実現します。
オーバーサンプリング
『TRINITY SHAPER』は、切り替え可能な2x、4x、8x、および16xのオーバーサンプリング・オプションをサポートしており、あらゆる条件下で高品質なサウンドを保証します。
Lookahead
トランジェントは常に急激な音量変化を伴うため、ブーストとアテニュエーションは迅速に反応する必要があります。『TRINITY SHAPER』は、急激なトランジェントで発生する可能性がある音量エンベロープの突然のシフトを防ぐために、切り替え可能なルックアヘッド機能を備えており、信号を事前に検出してトランジェントのカーブを効果的に滑らかにします。
Lookahead がOFFの状態
Lookahead がONの状態
アナログモデル・クリッパー
クリッパー(リミッター)は、トランジェント・シェイピングのもう1つの重要なツールです。『TRINITY SHAPER』は冷やかなデジタル・クリッパーに加えてオプションのアナログモデル・クリッパーを搭載しており、より透明で温かみのあるサウンドを提供します。
柔軟なサイドチェイン・コントロール
『TRINITY SHAPER』のサイド・チェーンは、L/RとM/Sの2つのモードをサポートします。
ステレオリンキング / MSリンキング
チャンネル・リンキングは、左右のステレオリンクを維持した状態から、デュアルモノまでチャンネル間のリンク範囲を調整可能。
サイドチェインEQ
評価が高いThree-body Technology『Kirchhoff-EQ』から受け継いだ、直感的なコントロールと極端なカスタマイズ性を備えた8バンド・パラメトリック・サイドチェインEQ を搭載。便利なコントロールと極めて高いカスタマイズ性を特徴としています。
各バンドは、9種類のフィルターを選択可能です(Bell / Low Shelf / High Pass / High Shelf / Low Pass / Notch / Band Pass / Tilt Shelf / Flat Tilt)
その他の特徴
- リアルタイム波形表示
- ゲイン変更表示
- サイドチェイン・モニタリング
- 外部サイドチェイン
- ドライミックス
- 20種類以上のプリセット
- プリセットセレクター
- アンドゥ/リドゥ
- A/Bスイッチング
- デフォルトセッティングのユーザー定義
- ノブやその他動作のカスタマイズ
- テーマのカスタマイズ
- リサイズ可能なGUI
- フルスクリーンモード
- CPU最適化
- GPUアクセラレーテッドGUI
- Appleシリコンのネイティブサポート
- MacOS Retina / Windows高DPIモニターサポート
レイテンシー
オーバーサンプリングとLookaheadが無効になっている場合、フォーカス・フィルターがシングルバンド・モードとマルチバンド・モードどちらで動作していてもゼロレイテンシーを実現しています。
- 2xオーバーサンプリング時: 144サンプルポイント、約3.3ms(44100 Hz)
- 4xオーバーサンプリング時: 216サンプルポイント、約4.9ms(44100 Hz)
- 8xオーバーサンプリング時: 252サンプルポイント、約5.7ms(44100 Hz)
- 16xオーバーサンプリング時: 270サンプルポイント、約6.1ms(44100 Hz)