1940年代に誕生したロータリースピーカーキャビネットは、回転式のドラムウーハーとホーンツイーターによるドップラー効果が特徴でした。この構造による倍音、そしてトレモロやビブラート効果はサウンドに豊かさと幻想的な印象をもたらします。この革新的なスピーカーはすぐさま、ジャズオルガン奏者に広まり、やがていまではブルースやロックレジェンドと称されるミュージシャン達にも普及されていきました。Buddy Guy、Jimi Hendrix、Robin Trower、Pink Floyd、The Beatles… そしてこの巨大な装置をによる効果を再現すべく、多くのギターストンプメーカーからこの効果のエフェクトがリリースされました。
しかしこの特徴的な効果はハードウェア、ソフトウェアに関わらず、これまで実機を超える存在は誕生しませんでした。Rotaryはモダン技術の粋によってこの難関に挑戦した結果です。現代のアーティストとプロオーディオエンジニアのためにオリジナルキャビネットの特徴と魅力を忠実に再現し、メンテナンスフリーで、多様性と高いカスタマイズ性を持ったミュージックツールとしてRotaryを完成させました。シンプルで直観的な操作画面は効率の良いワークフローとインスピレーションの刺激を両立しました。高精度のステレオマイクポジショニング、豊富に用意されたバックパネルコントロールを装備し、これまでにない多彩なサウンド効果を思いのままにします。そのため、Rotraryは一般的に用いられるオルガンやギターのみならず、その他の楽器やボーカルにも効果的です。倍音を強調し、聴覚を刺激する奥深いサウンドムーブメントをもたらします。
ロータリースピーカーの音色は、様々な要素によって完成されます。キャビネット、ホーン、ドラムスピーカー、モーター、ベルト、アンプそして箱鳴りが複雑に作用してその特徴的な効果が生まれます。魔法に等しいその絶妙な組み合わせと作用が、ロータリーエフェクトの完全再現の障壁でもありました。UVIはこれらの要素の一つ一つ丹念に研究し、まず完全再現を目指しました。しかし、ゴールはそこではありません。内部構造をすべて独立コントロール可能にし、このことによって、実機を超えたエフェクト効果を実現することに成功しました。
Rotaryのベースモデルは一つではありません。高精度にフィジカルモデリングされたキャビネットを複数用意しています。どのモデルも電気的、そして音響的な特性、特徴を丹念に分析し、再現されています。周波数特性、ハーモニックディストーション、反響や音波の拡散など、何度もテストと修正を重ねた結果がRotaryです。さらにアルゴリズム演算の最適化を図り、その性能からは想像できないほど、驚異的な低CPU負荷とシステム条件を可能にしています。
Rotaryは、熟練のエンジニアのみぞ知る最適なマイクポジション設定を素早く、適切におこなうことが可能です。シンプルなドラッグ操作、またはマクロコントロールによって、微調整をすることができます。そしてアシンメトリー、オートメーション、ステレオフィールドコントロール、A/B設定切替は、意図したサウンド効果をより簡単に得るために用意されています。最高の結果を得るために、実物のスピーカーとマイクの設置する重労働はもう不要です。
キャビネットから放たれるサウンド効果を特徴付ける大切な要素であるホーンとドラムスピーカーセクションは完全独立で、特別なパラメーターが多数与えられています。フロントパネルは直観的で扱いやすく、バックパネルは完全カスタマイズをするためのパラメーターにアクセスします。
完璧なミックスのためにホーンとドラムのそれぞれにフィルターと指向性設定が用意されています。そしてキャビネットサイズ、箱鳴りをミックスに馴染むように徹底的に調整することが可能です。例えば、ホーンのサウンドを目の前に持ってきた強烈な効果も、遠く離した濃密なコーラス効果も自由自在です。
回転の加速と減速効果はロータリースピーカーの大きな特徴の一つでもあります。もちろん、Rotaryではホーンとドラムそれぞれ、独立してコントロールすることが可能です。この仕様はもともと、実機のホーンとドラムの質量が異なるために変化速度が異なることを再現するために用意されたもので、多くの高性能ロータリーシミュレーターに装備されています。Rotaryはこの機能の可能性を単な忠実なシミュレーションだけ終わらせるのではなく、ハイブリッドモードによる想像を超えたドップラー効果を生み出すまで、幅広いコントロールを可能にします。