API500フォーマット・モジュールのコンパクトなボディにもかかわらず、同社製フルサイズ・アウトボード・プリアンプの「DRS8 mk2」「DRS Q4 mk2」「DRS Q4M mk2」と同様のコンポーネントで組み上げられ、音質の面でも一切劣る所が無く、Phoenix Audioが送り出す素直かつ適度に粘りあるサウンドを十分に味わう事ができます。
フロントパネルはシンプルかつ必要十分なパーツで構成されています。
INPUT SENS
-30dB~-70dBの可変幅を持つ5dBステップのインプット・ゲイン。「DRS8 mk2」や「DRS Q4 mk2」と同じ大型ノブを使用し、500モジュールのサイズでイージーな操作感を実現。入力信号に歪みを加えないクリーン・ゲイン仕様。
5LEDアウトプット・フェーダー
-2dBu~+16dBuのアウトプット・レベルを示す、5LEDインジケーター。純粋なアウトプット・レベルを反映するので、+16dBuの赤色LEDの点灯が即座にクリッピングを意味する訳ではありません。
MIC/LINEスイッチ
MICレベル ~ LINEレベルの切替え。-30dBのPadとして機能します。
HPFスイッチ
120Hz以下をカットする6dB/Octのハイパスフィルター。滑らかに低域を減衰させ、DRS-1Rの持つ音楽的な質感をさらに際立たせます。
PHASEスイッチ
信号の位相を反転します。
MUTEスイッチ
信号の出力をカットします。
DIスイッチ
前面パネルのDI I/P標準ジャック入力に切り替わります。この時INPUT SENSノブはバイパスされます。(最大出力+20dB)
+48Vスイッチ
+48Vファンタム電源をラック背面のマイク・インプットに供給します。
O/P LEVEL
クラスAディスクリート回路とカスタム・ワウンド・トランスフォーマーの組み合わせで、DRS-1Rの音色を劇的に変化させます。LEDメーターを見ながら出力レベルを調整して下さい。
DRS-1Rのサウンドは2つのゲインノブ、すなわち「インプット・ゲイン」と「アウトプット・ゲイン」の組み合わせによって、クリーントーンから倍音の効いたサチュレーショントーンまで幅広いサウンドを生み出します。
例えば、アコースティック楽器を録る際にはインプットステージで大きくゲインを稼ぎ、アウトプットを小さくする事で歪みを抑え透き通ったクリーンサウンドが好ましいでしょう。
逆にアウトプットステージで増幅すれば、テープ・コンプレッションをかけた様な倍音豊かな歪みが乗り、サウンドに鮮やかさが生まれるので、ロック・ポップスの録音に最適です。
DRS-1Rのインプット及びアウトプットステージは広大なヘッドルームを備えているので、LEDインジケーターが赤色に点灯してもさらにゲインを稼ぐ事ができます。+16dBuの赤色LEDは、一般的なマイク・プリアンプの様なクリッピングのサインではなく、純粋にDRS-1Rの出力レベルを示すものです。最大+26dBもの高出力を備えていますので、音量の小さなソース(例えばリボンマイクやパッシブ・ピックアップのアンバランス信号など)でも思う存分アウトプット・ゲインを上げて行く事ができます。
さらにDRS-1Rのユニークなポイントは、その電源部にあります。通常API500規格ラックにマウントされたモジュールは16Vで駆動しますが、Phoenix Audioの500シリーズ・モジュールはオリジナル・パワーサプライを搭載しており24Vで駆動する設計となっています。それ故にコンパクトなボディ設計の中でも、ラックサイズのマイク・プリアンプと同等の音質を実現し、クオリティをロスすることがありません。Phoenix Audioの理想のサウンドを500サイズで十分に実感して下さい。