唯一無二のツール
その登場以来、洗練と機能拡張を続けてきた Melodyne は数々の賞に輝く製品へと成長し、多数のミュージシャンとプロデューサーが愛用する制作に欠かせないソフトウェアとなりました。
The Who のギタリスト Pete Townshend は「奇跡」、Ultravox のシンガー Midge Ure は「まるで黒魔術」とそれぞれこのソフトウェアを高く評価し、Depeche Mode のプロデューサー Gareth Jones やマルチメディアの預言者 Peter Gabriel も愛用。ジャズ・シーンの第一人者 Herbie Hancock は、ミュージシャンに「必須」のソフトウェアとコメントしています。
Melodyne の強みと特徴は、デジタル録音を音楽として理解する能力と、音楽に含まれる各音を認識して表示する能力にあります。Melodyne はミュージシャンと言葉を共有。テクニカルな情報ではなく、編集すべき音楽的な要素を提示します。Melodyne を使用すれば、作曲家のようにレコーディング素材に含まれる音を取り出してアレンジ、変更、新しい何かを作成したり、パフォーマーのように作品に活気、表現力、情緒といった深みを加えたり、指揮者のようにテンポ、ダイナミクス、構成を変更することができるようになります。
音単位でのオーディオ編集
Melodyne なら、録音やサンプル、音のひとつひとつに含まれる音楽的ディテールのすべてにアクセスできます。
これは、録音やサンプルを精査し、そこに含まれる音の音楽上の関係性(各音とその特徴、スケール、キー、コード、タイミング、テンポ、音色)を識別して理解するという、洗練された分析によるものです。Melodyne では、これらすべてを直感的に編集できます。ボーカルだけでなく、ピアノやギターといったポリフォニック楽器を含む、あらゆる種類の楽器やインストゥルメントを扱えるのです。*
*後述する “革新のテクノロジー” の項をご参照ください。
ノートとツール
Melodyne では、音は “ブロブ” で示されます。
Melodyne のパワフルなツールを使用してブロブを操作することで、各音のピッチ、ビブラート、ボリューム、歯擦音、長さ、タイミング、フォルマント集、その他さまざまな編集が行えます。こうすることで、音楽的でありながら直感的な方法で、演奏やパフォーマンスのイントネーション、フレーズ、ダイナミクス、音色を強化できます。優れたアルゴリズムによって、編集後に聴きやすさ、表現の豊かさ、自然さが失われるようなことはほとんどありません。
Melodyne が優れている理由
Melodyne の優れたサウンド・クオリティとシンプルな操作性の秘密は何でしょう? 最も重要なのはテクノロジーではありません。
カギとなるのは、音楽への理解。
Melodyne は、音と、音同士の関係性を認識します。Melodyne のアルゴリズムがこれほどまで音楽的に処理を行うことができるのは、この知識の賜なのです。Melodyne は、秀逸のサウンド、音楽的な関係性を理解できない他のソフトウェアでは実現できないさまざまな利点を、ミュージシャンやプロデューサーに提供します。
革新のテクノロジー
▼DNA : Direct Note Access™
ポリフォニックなオーディオ素材に含まれる各音を編集
DNA は、ポリフォニック・オーディオ素材に含まれる各音を検出し編集することを可能にした、初のテクノロジーです。この技術により、不可能が可能となりました。Melodyne が提供してきた、モノフォニック素材に含まれる音のピッチ、タイミング、デュレーションといった要素にアクセスする独自の機能が拡大。DNA により、和音を構成する音も処理できるようになりました。
Melodyne と同じように、DNA の登場は、オーディオ操作の常識を大きく変化させることとなるでしょう。すでにデジタル画像処理の分野では、細かな部分の修正にとどまらず、全く新しいリアリティを生み出す画像処理を実現するソフトウェアが登場していました。DNA により、Melodyne ユーザーは、オーディオ分野においても同様の自由な操作を行うことができます。DNA を搭載したMelodyne なら、これまで想像もできなかった方法で、繊細な補正からまったく新しい作品の作成まで、さまざまにオーディオ素材を加工することができます。
*DNA は、Melodyne Studio および Editor で利用可能です。
▼ARA : Audio Random Access
先駆的なオーディオ・プラグイン・インターフェイス用エクステンション
オーディオ・ソフトウェアのサウンドは当然ながら最も重要であり、Celemony でも最優先項目です。しかし、ユーザー・フレンドリーであること、効率に優れたワークフローも、ソフトウェアで得られる結果のクオリティに貢献していることも事実です。すべてがスムーズに進めば、ユーザーは音楽だけに集中できます。ARA は、この目的で Celemony が PreSonus と共同開発した、既存のプラグイン・インターフェイス用の先駆的なエクステンションです。
ARA は、DAWとプラグイン間でのオーディオ・ファイル、テンポ、ピッチ、リズムといった情報交換を可能にし、よりタイトな統合を実現する技術です。プラグインのDAWとの連携が高まり、よりスムーズで効率に優れた動作が可能となります。DAWは、プラグインとの統合を深め、まるでDAWの一部となったかのようによりターゲットを絞ったプラグインの活用が可能となります。
ARA は既存のプラグイン・インターフェイスとの競合を目的にデザインされたものではなく、DAWとプラグインの両方がサポートするべきオプションのエクステンションとして機能するよう設計されています。ARA は、ユーザーによる別途インストールやセットアップを必要としません。
ARA は、すべてのエディションの Melodyne 5 に対応しており、今後も継続的に開発が続けられます。たとえば最新バージョンの Melodyne 5 Studio では、複数のトラックの同時編集の可能性が広がり、DAWでのコンピングがさらに簡単になりました。ARA は現在、Apple Logic Pro X、Steinberg Cubase、Steinberg Nuendo、PreSonus Studio One、Bandlab Cakewalk、Magix Samplitude Pro、Cockos Reaper、Acoustica Mixcraft、Tracktion Waveform に対応しています。ARA を活用するその他のプラグインには、Synchro Arts Vocalign があります。
<Melodyne 5 の新機能>
新テクノロジーにより、さらに短い時間で優れた結果を
[メロディック]アルゴリズムが見直され、機能性が向上。Melodyne でのボーカル編集はこれまで以上に優れたものになりました。パーフェクトかつ自然な補正がキー操作ひとつで簡単に。コードトラックを使用すれば、ノートをあっという間に楽曲に適合させることができます。もちろんコード検出も可能。また、独自のフェードツールにより、ポリフォニック録音やサンプルに含まれるノートでもノート単位でフェードを作成することができます。
新機能
・楽音成分と非楽音成分を個別に編集できる[メロディック]アルゴリズム
・ピッチのずれの分析がより音楽的に
・コードトラックとコードグリッドでピッチを編集しコードを検出
・フェードツールとレベル調整マクロでダイナミクスを編集
・アルゴリズムを追加[パーカッシブ(ピッチ)]、その他のアルゴリズムの機能向上
・キーボードショートカット検索機能、ショートカットセット保存機能
ボーカル機能がさらに向上
Melodyne の中核がこれまで以上にパワーアップ。ボーカルに使用される[メロディック]アルゴリズムがノート内の非楽音成分(歯擦音など)と楽音成分を区別できるようになりました。同時に発音する場合でも区別可能です。また、ピッチやタイミング変更は楽音成分についてはすべて検証を経て実行されますが、歯擦音の扱いには人声の自然なパターンを正確にエミュレートする別ルールが適用されます。つまり、Melodyne を使用すれば、最高のサウンドクオリティと、最も自然な結果を自動的に得ることができるのです。
もはや歯擦音を手動で分離する必要がなくなるため、プロフェッショナルには朗報です。これにより、作業時間を短縮でき、ノートエディターの表示をより有意義なものにすることができます。また、より正確に機能する自動化と、歯擦音と楽音成分の重複部分の考慮により、結果として得られるサウンドも大幅に向上します。
歯擦音検出機能は、音響上の利点だけでなく、クリエイティブ面でも新たな可能性をもたらします。歯擦音ツールを使用すれば、1つのノートに含まれる歯擦音と楽音成分のバランスを調整できます。歯擦音を減衰、完全にミュート、強調、さらには分離することもできます – ありとあらゆる操作が可能です。その上、ボーカルに含まれる問題のあるエリアにのみ効果を生じ、他の成分に悪影響を及ぼさないパーフェクトなディエッサー機能も搭載しています。
人間の聴力をモデリング
外れて聞こえる音とそうでない音があるのはどうして? ピッチの揺れは、ボーカルパフォーマンスのクオリティの一因となります。感情や気持ちはそういったものを通じて表現されるからです。つまり、それこそが、人間らしさの表れなのです。ですが、それがポジティブな効果として現れるには、そういった揺れのタイミングが自然かつ正確なものであることが極めて重要になります。
音が「決まらない」という場合、それは必ずしもピッチのせいではないかもしれません。気になるのが、音の特定の部分、特に極めて短い一部分であることもよくあります。ときとして冒頭、またあるときは終わり、あるいはその間に来ることもあります。それは完璧にピッチが合っていなければならない重要な部分で、そうでないと音が変に聞こえてしまうのです。こういった部分の前後にあるピッチの揺れは聞き手におかしな印象を与えません。むしろそれは、パフォーマンスに生気を与え、自然なサウンドにする要素なのです。
Melodyne はこういった問題を生じるエリアを正確に識別し、ノートインスペクターに表示します。ずれは各ノートの該当部分のピッチからピンポイントで計算されます。そのため、ダブルクリック(ノートのずれをゼロに設定)するだけで、音楽的に適切な結果が得られるのです。また、マクロも、より音楽的になったこの新アプローチを活用しています。各ノートのピッチは完璧でありながら、自然で生き生きとしたサウンドになります。
ビデオ:ボーカル編集が飛躍的に進歩
新しいボーカル機能と歯擦音検出機能に関するハンズオンビデオです。
コードトラックとコードグリッド
コードの操作が向上、ノートの適合がさらにスピーディーに : Melodyne 5 のコードトラックは、ノートエディターのピッチグリッドにリンクされています。これにより、コードの操作がさらに簡単になり、ハーモニーがより分かりやすくなりました。ピッチが現在のコードに適合しているかどうかをいつでも確認でき、それに応じてあっという間にノートを調整することができます。これはコード変更時に便利で、サンプルを楽曲に合わせて調整したい場合にも最適です。
コードを自動操縦 : Melodyne のコード検出テクノロジーは最先端。トラックを個別またはまとめて(さらにはミックス全体を)考慮し、ノートの組み合わせからコードを識別します。録音を高い信頼性とスピードで分析し、コードトラックに自動で埋め込みます。これにより、コードの操作がさらに簡単になります。
ビデオ : コードの操作
新しいコード機能とサンプル適合機能に関するハンズオンビデオです。
ダイナミクス機能
ノート単位のフェード : フェードツールは録音のダイナミクスに極めて効果的なコントロールを提供します。各音を個別に操作でき、コード内のノートも操作可能。このユニークな機能は、ダイナミクス編集の全く新しい可能性を提供します。また、Melodyne ではフェードはノートの一部であるため、ノートを移動またはコピーしても自動的に維持されます。
ダイナミックレンジをコントロール : レベル調整マクロでは、音の大きなノートを小さく、小さなノートを大きくすることができ、ボリュームのバランスを調整します。Melodyne テクノロジーにより、ポリフォニック録音でも使用可能。そのため、コード内の1つまたは複数の音が小さすぎて他の音に負けてしまっている場合など、簡単に希望のレベルまで上げることができます。
ビデオ : レベル調整ツール
ダイナミクス機能(とくに、フェードツールとレベル調整マクロ)についてのハンズオンビデオです。
その他のアルゴリズム機能向上
[パーカッシブ(ピッチ)]: この新アルゴリズムは、タブラ、ビリンバウ、808キックなどのインストゥルメント用に特別に開発されたものです。これらのインストゥルメントの音は、パーカッシブでありながら音高もあります。
[ロバストピッチカーブ]: この新オプションでは、リバーブの強い音など、特定の信号の編集時により高いサウンドクオリティを得ることができます。オンの場合、モノフォニックアルゴリズムでわずかに滑らかになったピッチカーブが使用されます。
[コンプレックス]: 機能が向上し、フォルマントに関連する再生タイプ[トーナル]と同じようにフレキシブルに使用できるようになりました。
その他の機能向上
キーボードショートカットの機能向上 : キーボードショートカット検索機能が追加され、ショートカットセット保存機能が向上しています。
.mdd ファイル不要 : Melodyne の検出データはこれまで別個の .mdd ファイルに保存されていましたが、オーディオファイル自体内に保存されるようになり、ファイルディレクトリーがより分かりやすく、プロジェクトの共有もより簡単になりました。