位相特性をも考慮した、透明で歪みのないサウンドを
2016年に発売された iLoud Micro Monitor は、そのサイズを超えた低音域の再現力と正確なサウンドで、音楽制作初心者、プロのレコーディング/ミックス・エンジニアからハイファイ・オーディオ愛好家まで、幅広い層に驚きを与えると同時に大きな支持を得ています。IK Multimedia はそのコンセプトにさらに磨きをかけるべく、5インチ、6インチ、さらには8インチのスタジオ・モニターにも匹敵する、コンパクト・スピーカーの設計に着手しました。
そして、現代のスタジオ・リファレンス・モニターの音質、正確さ、そして使いやすさのすべてに革命をもたらす iLoud MTM が誕生したのです。
iLoud MTM のサウンドを聴けば、もう従来の大型スピーカーに戻ることはできないでしょう。
リファレンス・クラスの超リニアな特性
スタジオ・モニターには、正確で色付けのないサウンドを提供し、さまざまなリスナーの再生環境でも伝わるミックス、マスターを仕上げるための判断基準となることが求められます。iLoud MTM は、最先端のDSP技術によってスピーカーの動作を完全にコントロールすることで、40 Hz から 24 kHz までフラットな周波数特性であるという、アナログ設計では困難な仕様を実現しています。
高域は自然な鳴りで余分な強調は無く、中域はくっきりとして音像が掴みやすく、さらに低域はこれまでないほどにバランスの良い仕上がりとなりました。長時間のミックスでも耳が疲れることなく作業に集中できるでしょう。1本あたり 100W RMS の出力と103 dB SPL の最大音圧で、おなじみのラウドさも健在です。
倍サイズのスピーカーに匹敵する、低域再生能力
iLoud Micro Monitor で「3インチのスピーカーで、こんな低音が鳴るとは信じられない」と、世界を驚かせた IK Multimedia。40 Hz – 24 kHz とさらに広い帯域をカバーした iLoud MTM の低音域は、どんな音楽ジャンルでも余裕をもって対応できます。
iLoud MTM の開発では、新たに特許出願中の Physical Response Linearisation(PRL™:物理反響線形化)技術にて、エンクロージャーのデザイン、構造、素材選定から、実機の電気機械測定、システム性能のリアルタイム修正までが可能となりました。その結果実現したのは、倍サイズのスピーカーに匹敵するほどディープでありながら、ダブつかず、しっかりとバランスのとれた低域再生能力です。
深みと芯のある低音。この小さなモニター・スピーカーの低域再生能力に、きっと驚かれることでしょう。
位相特性にも配慮したモニター環境を実現
現在販売されているスタジオ・モニターのほとんどには、非常に高価な機種でさえ、位相の歪みが存在しています。それは従来の位相ズレを引き起こすクロスオーバー、ドライバーとエンクロージャーの設計に起因しています。結果、ステレオ音像やトランジエントはぼやけ、精細さを欠くものになります。iLoud MTM は、IK Multimedia の20年以上にわたる研究開発に基づくDSPデザインに基づき、注意深く設計されたクロスオーバー、ウーファー/ツイーター間のタイムアライメントにより、ミックス判断に必要な全帯域にわたって歪みの無い、リニアな位相特性を実現しました。その結果は信じられないほどリアルで、自然なサウンドに結実しています。
楽器からダイアログまで、目の前で発音されているような生々しさで各トラックのディテールが聴こえるので、もともと存在しない問題を解決しようとEQで試行錯誤するといった、従来のスタジオ・モニターでありがちな時間の浪費を避けることができます。iLoud MTM の数倍する価格帯のスピーカーでも実現していなかったリニアな位相特性は、一度体験すると元には戻れなくなることでしょう。
上下左右対称の “MTM” デザインによる正確な音像と再現力
iLoud MTM は、3.5インチ高性能ウーファーとバック・チャンバー実装の1インチ・ツイーターを「ミッドウーファー + ツイーター + ミッドウーファー」と上下左右対称に配置することで、通常の2ウェイ・システムでは不可能なほど高精細で、焦点の合った音像を実現してます。その結果得ることができるのは、まるでスピーカーが姿を消して、音楽そのものが立ち現れたかのような聴取体験です。通常の2ウェイ、3ウェイ・システムでありがちな、各周波数帯が異なるタイミングで耳に届くといった問題も無いので、長時間のミックスでも疲れることはありません。
iLoud MTM は、スピーカーから発せられる音の広がり方も最適になるようにデザインされています。制御された音の広がりは、床、デスク、天井の反射を低減し、近距離でも正確なモニタリングを可能にします。
結果としてミキシング作業はよりスムーズになるでしょう。
また、MTM デザインの利点は、その優れた音像再現力にとどまりません。他のシステムの30%から50%ほど小さいサイズで、狭いスペースでも容易に設置が行えます。
どんな部屋でも最適な音場を
今日の音楽制作は、完璧な音響設計をなされたスタジオで行われるとは限りません。実際には自宅のプライベート空間、場合によってはベッドルームでモニタリングをすることも多いのではないでしょうか。多くのスピーカー製造メーカーはこのことを考慮せず、スタジオと同じような音響空間、モニター位置を前提にスピーカー設計を行っています。
iLoud MTM には、IK Multimedia の定評ある ARC™ System 技術による自動音場補正システムが内蔵されています。同梱の音場測定マイクを iLoud MTM の ARC MIC IN に接続し、リスニング・ポジションに設置したら、あとは CAL / PRESET ボタンを長押しするだけです。
もちろん、自動音場補正の結果に基づき、フラットな特性になるように補正をするだけでなく、好みに応じて低域レンジを拡張したり、低音域、高音域の音量を手動で調整することもできます。
iLoud MTM を使用すれば、部屋の音響特性に合わせて、モニタリング環境が最適化されていることが実感できるでしょう。
角度調整も、横置きも
モニター・スピーカーは設置位置だけでなく、その角度も重要です。現代のミュージシャンは、ラップトップ・コンピューターの脇にスピーカーを置いて作業をすることも多いでしょう。このように非常に近い距離でスピーカーを使用する場合、正確なモニタリングを行うためには、スピーカーはある程度の角度で設置されるべきです。
iLoud MTM に付属のスタンドは、設置面からのアイソレーターとして機能するだけでなく、聴取角度を調整可能です。市場にはほんの少しの傾きで聴取角度を調整可能とするモニター・スピーカーも多く存在しますが、iLoud MTM は0度から20度まで角度をつけられるので、デスクトップなど近距離での設置でも最適な角度で聴取可能となります。
あわせて iLoud MTM には、横置き用のゴム製設置台が用意されている他、底面にはマイク・スタンド設置用のネジ穴もあるので、ライブ演奏時など様々な環境でお使いいただけます。
この横置き設置時にも、上下左右対称の MTM デザインは理にかなったものとなります。さまざまなシチュエーションで正確な音像と再現力を実現するために、設置場所、置き方も考えられた設計となっているのです。
デジタル制御による精密なオーディオ・コントロール
iLoud MTM は、DSPによる高解像度アルゴリズムと最先端の A/D コンバータにより、クロスオーバー、フィルタリング、タイムアライメント、イコライゼーション、ダイナミクス、自動音場補正を精密に管理しています。音場に合わせた正確なモニタリング環境の構築は、このDSP制御により成り立っています。
iLoud MTM は、IK Multimedia の20年以上にわたる研究開発に基づくDSPデザインにより、そのサイズやクラスをはるかに超えたサウンドを実現しているのです。